一般の方々へ
当サイトについて
全国証券問題研究会は、証券取引被害救済に取り組む全国各地の弁護士によって結成された任意の研究団体であり、日本弁護士連合会や各地の弁護士会のような公的性格を持つ団体とは異なります。従って、当サイトの各ページの内容やそこに記載された意見、解説等も、投資家保護、被害救済の観点に拠って立つものとなっており、必ずしも客観性、中立性を意識したものとはなっていない場合があります(但しデータの正確性については万全を期しているつもりです)。
法律相談について
時折、当サイトにてメール等で具体的な被害についての法律相談を希望される方がおられます。この点、以前とは異なり弁護士の広告活動が解禁になったものの、当研究会は当サイトを事件受任のための広告として運営しているものではなく、積極的に法律相談や具体的な事件依頼を受け付けるものではありません。具体的なトラブルについては、まずは最寄りの弁護士会の法律相談の窓口にてご相談下さい(地域によっては、一般の法律相談だけでなく、例えば消費者事件の相談といった、分野別の法律相談が実施されている場合もあり、分野別に弁護士紹介を依頼できる場合もあります)。
なお、ご相談のメール等への一般的な回答という意味で、以下に我が国の証券取引被害の実態や被害の未然防止のための心構えを記載しておきます(当サイトの内容は、一般の方々への被害防止のための助言や情報提供という観点においては全く未成熟ですが、今後できるだけ充実に努めたいと考えています)。
紛争解決方法の実態
我が国の投資家保護の意識や被害救済の制度は、現状においてはまだ不十分です。被害が生じた場合、金融商品取引法上の損失補填禁止規定の影響もあって、一般の民事事件に比べれば、業者側が示談に応じることはかなり少なくなっています。証券・金融商品あっせん相談センター(フィンマック)の金融ADR(あっせん)は、事案によっては迅速な解決を期待することができますが、事実関係が激しく対立している事案や被害金額が大きな事案では、あっせんによる解決は容易ではありません。このような実情から、結局、被害者が損害を回復するには裁判を行うしかないことが大半です。
裁判の現状
以前とは異なって証券取引被害訴訟は必ずしも勝ち目のない訴訟ではなくなっています。当サイトの証券判例データベースに掲載したとおり、現在までに多数の投資家勝訴判決が出ていますし、和解が成立した事案も相当数あるようです。また、以前は裁判で「あるかないか」自体が激しく争われていた業者の説明義務が、必ずしも十分な内容ではないにしても、今や法律に明記されるに至っていることは、当サイトでもお伝えしているとおりです。
しかし、一般市民が大企業である業者と訴訟を行って良い結果を得るには、相当の労力や時間を要します。また、当サイトの証券判例データベースは、あくまで投資家勝訴判決のみを掲載したものであり、敗訴判決については詳細なデータがあるわけではないものの、これも相当数に上っていることは確かです。敗訴した場合には、訴訟に要した費用は戻ってはきません。勝訴した場合でさえ、過失相殺が行われて賠償金額が低くなってしまうことが多いのが実情です。確実に流れは変わってきているものの、今でも、本音のところでは「儲けようとして迂闊に騙されたものが悪い」といった誤った視点で証券取引被害を見ている裁判官は少なくないのです。
被害に遭わないために
以上の実情からしても、まずは被害に遭わないようにすることが一番であることは当然です。そのためには、営業マンの勧誘や広告を安易に信じないことです。現状では、自分自身が本当にリスク(危険)とリターン(利益)の内容やバランスを十分に理解し、納得するなどして、損が出ても自己責任だと覚悟できるまでは、証券投資は行うべきではないでしょう。また、理解するための情報収集を行う場合にも、業者側の資料や情報だけではなく、様々な情報に接することが重要です。
なお、実際の裁判では、営業マンとのやりとりの内容は「言った言わない」になってしまうことが多く、上記と同様、まだまだ「多少大げさなセールストークも許され、それを信じ込む客の方が悪い」と考える裁判官も少なくありません。そのため、例えば営業マンが「安全で間違いないものだから買ってください」としつこく勧誘して買わせたものが、裁判では「営業マンはリスクもあることを告げた上で、自分としては安全と思うとの意見を言った程度であった」とされて敗訴してしまうこともあり得ます。従って、営業マンが安全性を強調するのであれば、それをメモにでも書いてもらうべきですし(まず書かないはずです)、場合によっては営業マンとのやりとりを録音しておくことも必要でしょう(不審に思えば取引しないのが一番ですが)。
※以上にもかかわらず被害に遭ってしまったら、泣き寝入りせずに、是非、弁護士会等の法律相談や消費者センターなどへの相談を利用して下さい。誰もが泣き寝入りしてしまっては、公正なルールは生まれず、同様の被害が続くことになってしまいます。