研究会の紹介

研究会の概要

当研究会は、平成3年の証券不祥事を機に沸き起こった一般投資家の証券会社への不信と怒りを背景に、全国の証券取引被害救済に取り組む弁護士が集結してできた会であり、110番活動等を経て、平成4年2月の東京での第1回研究集会より本格的な活動を開始しました。

以後暫くは年3回程度、平成9年からは年2回のペースで全国各地持ち回りにて、毎回全国から100~150名程度の弁護士、研究者等の参加を得て研究集会を行っています。この研究会集会では大きく分けて、①研究者あるいは実務家の講演、②各地からの勝訴判決報告、事案報告、③テーマを絞ってのレポート、④声明文の採択を行っており、実際に事案を抱えた弁護士による最前線の議論や情報交換が毎回熱っぽく行われています。次回の研究集会の予定については、こちらをご覧下さい。

現在の執行部

当研究会の現在の執行部(令和5年4月就任)の主なメンバーは、以下のとおりです。

代表
石川 真司(愛知県弁護士会)
副代表
牧野 一樹(愛知県弁護士会)
正木 健司(愛知県弁護士会)
事務局長
平野 憲子(愛知県弁護士会)

研究会の歩みと成果

初期段階での当研究会の最たる研究対象は、何と言ってもワラントであり、説明義務でした。敗訴判決が続く中、ワラント被害救済に取り組む各地の弁護団が結集して、被害救済の基礎理論、ワラントの商品分析、各地のワラント訴訟の実情などを報告・議論し、これが平成6年以降の各地における勝訴判決の続出と説明義務の定着に結び付いたのです。とりわけ平成8年ころからは初期の敗訴判決を覆す高裁逆転勝訴判決が相次ぎ、さらには最高裁判決も次々に現れて、いわゆるバブル期の違法勧誘によるワラント被害は、一応の決着を見たと言ってよい状況に至っています。

また、これと並行して、株式取引、投資信託等についても研究が深められ、これも各地で多数の勝訴判決を獲得するに至っています。とくに株式取引における過当取引の問題に関しては、かねてから講演やパネルディスカッションを行い、年数回の過当取引研究会を開催して議論を深めてきましたが、このような研究の甲斐あって、その後は過当取引においてチャーニングの法理を正面から認めた勝訴判決が相次いでいます。

さらに、近時は、デリバティブ商品や仕組債の被害にも積極的に取り組んでおり、次第にその成果が現れています。

判例集の発行

当研究会では、平成6年より証券取引被害に関する判例集・証券取引被害判例セレクトを刊行しており、既に55巻を数えるに至っています。この判例セレクトは当研究会のメンバーが取得した判決だけでなく、広く投資家保護に資する裁判例を掲載したもので、最近では研究者の論文にもしばしば引用されるようになりました。当研究会としては、証券取引被害の救済や研究における必携の書と言っても過言ではないものと自負しています。

課題と今後の取組

証券取引被害事案の内容も多様化しており、当研究会の研究活動もいわば基礎編から応用編へと移行すべき時期に来ています。また、一定の被害救済法理が確立しつつある一方、歪んだ自己責任原則の理解によって安易に投資家の請求を棄却する判決、あるいは大幅な過失相殺を行う判決も少なくないのが偽らざる現状であり、証券取引被害に限っても、なお研究課題は尽きません。

また、商品そのものや販売主体、販売システムの多様化、複雑化に対応していくには、我々被害救済に取り組む者にも、金融・投資問題全般を視野に入れての垣根を超えた取組を可能とする体制が必要となっています。このような現状を踏まえ、当研究会は様々な意見書の作成や提言を行っており、今後も一層の広がりを持った活動を行っていく予定です。

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