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解 説 |
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■判 決: 岡山地裁平成11年9月30日判決
●商 品: ワラント
●業 者: 大和證券
●違法要素: 適合性原則違反
●認容金額: 332万6650円
●過失相殺: 5割
●掲 載 誌: セレクト14・281頁
●審級関係: 控訴審・広島高裁岡山支部12/9/14判決で維持(違法要素は説明義務違反に)判決は、原告は本件取引の9ヶ月前から頻繁に投機的な取引を繰り返していたとしつつ(ワラント取引も1回あった)、取引内容を子細に分析し、証券取引に習熟していたとは到底評価し難く、かえって、本件取引時には原告の投機的な取引を行うだけの能力について問題性が明らかになりつつあったとした。その上で、その収入や投資可能資金からしても、過去の損を一気に取り戻すために多額のワラントを購入する行為は余りにも無謀であり、「本件ワラントの購入は、原告の投資経験、判断能力、収入等に照らし、明らかに適合性を欠く」と判示した。
そして不法行為による損害賠償請求については時効によりこれを否定しつつ、「契約法理全体を支配する信義則の精神から導き出される証券取引契約の付随義務として、当該具体的取引を行う適合性が明らかに欠けることが判明した場合には取引を勧めるべきでないという保護義務が発生する」として、適合性原則違反による債務不履行を認めた(時効の起算点や時効期間の判示はないが、購入から提訴までは8年以上、権利消滅からは約4年半が経過していたケースであった・弁護士費用の賠償は否定されている)。なお、他に適合性原則違反の勧誘が債務不履行に該当するとして、証券会社の時効主張を排斥したケースとして、大阪地裁平成11年3月30日判決がある。
説明義務違反の主張に対しては明確な判示はないが、事実認定部分では一応の説明があったように判示されていること、担当社員の説明やパンフレットで危険性を認識し得たことが過失相殺の根拠とされていることからして、説明義務違反はなかったと考えられたようである(オプション取引に関する京都地裁平成11年9月13日判決と同じく、適合性原則違反である以上説明の有無は違法評価に関しては問題とならないとする趣旨である可能性もある)。
かような説明義務に関する判示の不十分さ、不法行為構成に関して原告の主張を排斥して権利消滅時期を起算点とした点、過失相殺割合、には疑問が残るが、適合性原則違反及び債務不履行に関する判示部分は実に正当であり、説明はあったとしながら適合性原則違反のみにて債務不履行を認めた点において、極めて重要な判決と言える。