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解    説

■判  決: 広島高裁岡山支部平成12年9月14日判決

●商  品: ワラント
●業  者: 大和證券
●違法要素: 説明義務違反
●認容金額: 332万6650円
●過失相殺: 5割
●掲 載 誌: セレクト16・392頁
●審級関係: 岡山地裁平成11年9月30日判決の控訴審

 不法行為構成を時効により排斥しつつ、適合性原則違反による債務不履行を認めた原判決に対し、本判決は、適合性原則違反を明示的には肯定しなかったものの、「高い適合性を有してはいなかった」ことを前提に、分かりやすい説明によりワラントの利益及び危険性について理解を得るべき義務があったとした。その上で本判決は、電話による説明とパンフレットの送付では適切な説明をして理解を得たとは言えないとして、説明義務違反を認め、結論として証券会社の控訴を棄却した(なお、投資家側は控訴していなかった)。
 また、本判決は、債務不履行構成に関し、証券会社の勧誘時の配慮義務は、契約締結上の注意義務であり、本件のようにその前から継続的に証券取引をしている場合は、継続的契約に基づく債務とも言い得ると判示し、原判決が否定した弁護士費用についても、「本件のように、本来の債務が金銭債務でなく、かつ、その債務不履行が不法行為をも構成する場合においては、事案の難易等を考慮して相当と認められる額の範囲内の弁護士費用は当該債務不履行により通常生ずべき損害に含まれるものと解するのが相当である」と判示している(但し、上記のとおり投資家側は控訴していなかったため、認容額の増額は行われていない)。
 債務不履行に関する上記判示内容は、今後の債務不履行構成の理論的検討に大いに参考になるものと思われる。