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解    説

■判  決: 大阪高裁平成25年1月25日判決

●商  品: その他(匿名組合型不動産投資ファンド)
●業  者: 高木証券
●違法要素: 説明義務違反
●認容金額: 915万5268円、481万7992円、117万2596円、760万8095円、147万5394円、305万5263円、
       115万9228円
●過失相殺: 3割
●掲 載 誌: セレクト44・321頁
●審級関係: 大阪地裁平成23年9月29日判決の控訴審判決


 匿名組合型の不動産投資ファンド(レジデンシャルワン)に関する大阪地裁における第3弾判決についての控訴審判決であり、7名の原告全員について、過失相殺3割にて損害賠償請求を認容した原判決の判断が維持されている(対象商品の概要については第1弾判決である大阪地裁平成22年10月28日判決の解説を参照されたい)。
 本判決も、適合性原則違反は否定したが、信義則上、レバレッジリスクについて十分に理解できるよう具体的に説明すべき義務があったとして説明義務違反による不法行為を肯定した原判決の認定及び判断を維持し、損害額についても、原判決と同様、投資対象不動産の価格の値下がり分も含めた損失額全体について説明義務違反との相当因果関係を認め、出資額から分配金や償還金を控除した額を損害とし(源泉徴収額を損害から控除することは否定されている)、これを基礎に過失相殺を行っている。
 また、本判決は、証券会社が使用したパンフレットにはレバレッジリスクに関する記載がなく、目論見書や商品説明書又は重要事項確認書を交付していたとしてもパンフレットにレバレッジリスクの記載が存在しないことを補うものということはできないとし、誤解を生ぜしめないために必要な事実の表示が欠けていたとして、金融商品取引法17条違反による損害賠償義務の発生を認めている(但し、その損害額は説明義務違反による不法行為に関して認められる金額を超えるものではないとされている)。