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解    説

■判  決: 大阪地裁平成24年3月16日判決

●商  品: その他(匿名組合型不動産投資ファンド)
●業  者: 高木証券
●違法要素: 説明義務違反
●認容金額: 68万0360円〜3535万1608円(原告43名全員につき一部認容)
●過失相殺: 3/4割
●掲 載 誌: セレクト43掲載予定
●審級関係: 控訴


 匿名組合型の不動産投資ファンド(レジデンシャルワン)に関する大阪地裁での第4弾判決であり、43名の原告全員について、損害賠償請求が認容されている(過失相殺は大半の原告につき3割、一部の原告につき4割・対象商品の概要については第1弾判決である大阪地裁平成22年10月28日判決の解説を参照されたい)。本判決も、適合性原則違反は否定したが、レバレッジリスクについて十分な説明がなかったとして、説明義務違反による不法行為を肯定している。
 また、本判決も、第2弾判決(大阪地裁平成23年4月28日判決)と同様、問題のファンドの分配金と損害額との関係について、被告証券会社が税込みの分配金額を損害から控除すべき旨を主張していたのに対し、原告らが現実に取得したわけではない源泉徴収額を損害額から控除するのは相当ではないと判示している。さらに、本判決も、被告証券会社が主張していた、出資総額を損害としてこれに対する過失相殺を行った後に分配金及び償還金相当額を控除するという損害額算定方法を、明示的に否定している。
 加えて、被告証券会社は、レバレッジリスクの説明義務違反と因果関係がある損害は、不動産価格の下落率を出資金元本に乗じて算出される金額を出資金元本の総欠損額から差し引いた残金額の限度であると主張していたが、判決は、原告らは説明義務違反がなければ出資することはなかったことや、レジデンシャルワンは3年間の運用期間中、原則として中途解約や第三者への譲渡をできないため、原告らは出資後に処分するか保有し続けるかを選択することもできなかったことを理由に、出資後3年間の不動産価格下落のリスクを原告らが負うべきであるとはいえないとして、被告証券会社の上記主張を排斥した
 なお、遅延損害金については、最後の出資日を起算日とした損害金が認められている。