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解    説

■判  決: 大阪高裁平成23年11月2日判決

●商  品: その他(匿名組合型不動産投資ファンド)
●業  者: 高木証券
●違法要素: 説明義務違反
●認容金額: 3457万0318円、4732万5231円、3644万5496円
●過失相殺: 4割
●掲 載 誌: セレクト41・315頁
●審級関係: 大阪地裁平成22年10月28日判決の控訴審、上告・上告受理申立


(事案の内容については、一審判決の解説を参照されたい。)
 本判決も、一審判決と同様、顧客らの適合性原則違反の主張は否定したが、一審判決の判示内容をそのまま引用して説明義務違反による不法行為を肯定した。
 また、過失相殺は一審判決の3割から4割に変更されたものの、一審判決が過失相殺を行ってから分配金や償還金の損益相殺を行っていたのに対し、本判決は、「本件ファンドの購入は、投資による利益取得を目的とするものであるから、それに関する不法行為によって控訴人らに生じた損害は、控訴人らが本件ファンドへの投資のために支出した総額(出資金及び手数料の合計額)から、控訴人らが本件ファンドの運用等により現実に受け取った分配金及び償還金を差し引いた額とするのが相当であり、かつ、本件においては多数回にわたり、継続してファンドの購入がされたものであるから、全体について合算、控除がなされるべきものというべきである」として、かようにして認定された損害を基礎に過失相殺を行っており、その結果、認容額自体は増額されている。
 さらに、本判決は、「分配金及び償還金に係る源泉徴収税額は、これが控訴人らに還付されたことを認めるに足りる証拠はなく、税額に相当する利得を控訴人らが現実に取得しているわけではないから、損害額から控除するのは相当ではなく」として、源泉徴収税率を20%として計算した税引後の分配金及び償還金を支出総額から控除して損害認定を行っている。