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解    説

■判  決: 大阪高裁平成20年3月28日判決

●商  品: 仕組債(為替連動債)
●業  者: 野村證券
●違法要素: 無断売買
●認容金額: 2440万7400円(預託金返還請求)、260万円(弁護士費用分の損害賠償請求)
●過失相殺: なし
●掲 載 誌: セレクト31・343頁
●審級関係: 
大阪地裁平成19年11月8日判決の控訴審、確定


 本判決は、控訴審の口頭弁論終結時の為替レートの変化により認容額を若干変更した以外は、原判決の判断を維持している。
 本判決も、本件の事情の下では注文書等の客観的資料がないことによる立証上の不利益は控訴人証券会社が甘受すべきものであるとしており、また、原判決が、証券会社側が業務日誌等の内部資料を提出しなかったことなどの訴訟態度を証券会社に不利な事情として斟酌した点についても、担当社員がその証言で「接触履歴という名称の業務上の記録」があることを認めて、これを印刷して提出することもでき、今日の証言もそういう履歴を見てのものであると証言していたのに、証券会社側は控訴審においても、存在しないから提出しないだけであると主張するのみであったことを指摘している。さらに、補足判断として、顧客の属性からして最長10年の長期保有リスクを有する本件債券を当然に積極的に指向するとは考えられない、顧客の日本語のコミュニケーション能力についても、発行前に買付を確定させる必要があるという購入の仕組みや、本件債券の特殊性を、電話による口頭の、あるいは簡単な資料を用いた口頭の説明のみで、十分に理解できると認めることはできないといった判断が示されている。