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解    説

■判  決: 東京高裁平成16年9月15日判決

●商  品: 株式、投資信託、転換社債等
●業  者: 日興證券(現・日興コーディアル証券)
●違法要素: 過当取引
●認容金額: 3074万8315円、827万7873円
●過失相殺: 6割
●掲 載 誌: セレクト24・60頁
●審級関係: 東京地裁平成15年12月22日判決の控訴審

 過当取引を認めた原判決の判断を維持した判決である。
 なお、原判決と同様、本判決も、過当取引による損害は過当ではない取引の場合に生じる手数料と実際の取引の手数料の差額にとどまるとの証券会社の主張を、「一連の取引全体が違法なものとなる以上、その取引全体から生じた損失が過当取引と相当因果関係を有する損害である」として、これを排斥している。また、過当取引期間中に購入され投資家が保有したままであった株式の含み損についても、これを損害に加えるべきではないとする証券会社の主張に対し、本判決は、「過当取引により取得した株式について、市場価値の下落が客観的に明らかであるときは、社会通念に照らし、取引により損害が生じたものと認めて差し支えなく、過当取引と相当因果関係を有する損害額の算定に当たっては、購入価格及び購入手数料である購入時の受渡金と口頭弁論終結時における同株式の市場価格の差額をもってその損害額と認めるのが相当である」と判示している。