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解    説

■判  決: 東京地裁平成15年12月22日判決

●商  品: 株式、投資信託、転換社債等
●業  者: 日興證券(現・日興コーディアル証券)
●違法要素: 過当取引
●認容金額: 2334万9688円、827万7873円
●過失相殺: 6割
●掲 載 誌: セレクト23・119頁
●審級関係: 東京高裁平成16年9月15日判決で維持

 事案は、両親の死亡によりその財産を相続した女性が、勧誘を受けて、自らの名義及び同人が代表取締役を務めていた会社(父親が所有不動産の管理のため設立)の名義で行った平成5年以降の一連の取引(株式、投資信託、転換社債等)につき、適合性原則違反、説明義務違反、断定的判断の提供、過当取引を理由に、証券会社に対して損害賠償請求を行ったというものである。
 判決は、適合性原則違反、説明義務違反、断定的判断の提供はすべて否定したが、過当取引については、平成7年4月から平成10年1月までの取引が過当取引に該当するとの原告らの主張に対し、平成7年4月から平成8年3月までの取引につき、以下のように述べて過当取引の違法を認めた。
 まず、過当性については、この1年間の買付額が15億9769万7097円と高額で、買付回数も各名義別で延べ135回となり、平均しておおよそ2営業日に1回の取引となるうえ、投資対象も多岐に及んでいること、売却回数も124回と多数回になっていること、売却と買付を同じ日に行っているケースが63回あり、これ以外にも頻繁に売却後短期間の買付がなされていること、30日以内で売却したケースが半分以上を占め、3ヶ月以内で売却したケースが取引の大部分を占めていること、投資資金の年次回転率は算出結果が控えめである被告側の主張を基礎にしても各口座平均で9.11であり、1年に投資金が9回転していること、原告はもともと安全性の高い商品に対する投資を目的として取引を開始していたこと等から、この期間の取引は、原告の投資目的、知識、経験等に照らして過当なものであったとされた。
 次に、口座支配性については、原告は自ら情報を収集し、分析して取引を行うような投資家ではなく、専ら担当社員の情報及び推奨を基に取引を行っており、実質的に一任売買に近い形で取引がなされていたこと、上記期間中の取引は格別大量かつ頻回に行われており、原告が冷静に投資判断を行うことができるものとは考えがたい取引状況であったこと等から、かかる要件も満たされているとされた。
 そして、悪意性については、上記期間中に被告証券会社が得た手数料が2400万円に上っていたことや、担当社員の主導的役割から、担当社員らがより多くの手数料を獲得する目的で勧誘等を行ったものと推認せざるを得ないとされた。
 以上により、過当取引による不法行為が認められ、上記期間中の取引の損失を対象に損害賠償請求が認容された(過失相殺6割)。なお、被告証券会社からは、過当取引による損害は、過当ではない取引の場合に生じる手数料と実際の取引の手数料の差額にとどまるとの主張が行われたが、判決は、「一連の取引全体が違法となるものである以上、その取引全体から生じた損失が過当取引と相当因果関係のある損害というべき」であるとして、かかる主張を排斥している。