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解    説

■判  決: 東京地裁平成15年2月27日判決

●商  品: 外債
●業  者: 丸荘証券(被告は同社の元取締役8名)
●違法要素: 説明義務を尽くす販売体制の構築責任、是正義務違反
●認容金額: 合計約3億円(原告は123名、被告によって認容の有無、範囲は異なる)
●過失相殺: なし
●掲 載 誌: セレクト21・331頁、判時1832・155頁
●審級関係: 東京高裁平成16年1月28日判決で維持

 丸荘証券は、平成9年1月から10月までの間、いわゆるペレグリンユーロ円債等の外債を購入して、これを一般顧客に勧誘、販売していたところ、これらの債券は償還金の全部または一部が償還されず、丸荘証券自身も平成9年12月に破産申立を行い、平成10年に破産宣告を受けた。その後、上記外債による損失を被った123名の顧客が、丸荘証券の元取締役らに損害賠償を求めて提訴したのが本件訴訟である(請求額については、原則として未償還金額の40%の内金を請求する形がとられた)。
 判決は、上記外債が、原資産の支払がなされない限り、債券発行者は責任を負わないという性質のものであること、原資産は格付けもないか、あるいはBなどの低い格付けの海外企業が発行した手形であったことから、安全性のかなり劣る商品であったとし、丸荘証券の販売員は、販売にあたってかような安全性の程度やリスクを分かりやすく説明する義務を負っていたとした。その上で、実際には販売員らは安全性を強調する説明を行い、危険性に関する説明を十分に行わずに勧誘を行っていたこと、外国証券販売説明書の交付や確認書の徴収を行うことになっていたにもかかわらず、ほとんど守られていなかったことから、原告らへの勧誘が説明義務に違反するものであったことを肯定した。
 続いて判決は、丸荘証券では上記外債を主力商品と位置付けて、販売促進委員会が設けられていたが、販売員にリスク等の正確な情報が周知されていなかったとした上で、多数の顧客に対して本店及び7支店の販売員が説明義務に違反する勧誘を行っていたことからすると、説明義務に違反して販売を行うような杜撰な販売体制が構築されていたものと評価せざるを得ないと判示した。そして各被告らの職責に即して、このような販売体制を構築した責任、さらにはこのような体制を是正しなかった責任を肯定し、損害賠償責任を認めた(但し、個人顧客への販売体制と関係のない部署に在籍していた被告については、故意または重過失による任務懈怠があったとまでは評価できないとされ、原告らの請求が棄却されている)。
 これまでは、金融商品の違法勧誘の責任は、当該勧誘に関与した社員と会社(使用者責任)の責任に事実上限定されている感があったが、本判決によって初めて、違法勧誘の根源とも言うべき販売体制の問題につき、証券会社の経営陣の責任が認められた。今後の金融商品の販売全般に大きな影響を与える先例的意義を持った判決である