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解    説

■判  決: 名古屋地裁平成12年7月25日判決

●商  品: ワラント
●業  者: 大和證券、岡三証券
●違法要素: 適合性原則違反、説明義務違反
●認容金額: 1119万5932円(大和證券)、702万4791円(岡三証券)
●過失相殺: なし
●掲 載 誌: セレクト16・355頁
●審級関係: 名古屋高裁平成13年2月16日判決で一部変更(過失相殺4割)

 農業と年金収入で暮らしていた大正9年生まれの原告につき、2つの証券会社で購入したワラント被害が問題となった事案である。判決は、説明義務違反を認めた上(大和證券については無断売買も肯定されている)、マイナスパリティの問題につき、マイナスパリティであっても転売差益を得ることができるとの証券会社の主張を「リスクが大きすぎるため、ワラントの仕組みを熟知した職業的な投資機関はともかく、一般投資家にはなじまない」として排斥し、説明義務以前の問題として、一般投資家にマイナスパリティのワラントを勧めること自体、適合性原則に違反すると判示した。なお、本判決は債務不履行責任を認め、遅延損害金の起算日につき支出時説をとっている。
 また、本判決は、原告に幾分かの過失が認められるべき事案とも考えられるとしつつ、証券会社側から過失相殺の主張がなかったこともあって、過失相殺を行わなかった。