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解 説 |
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■判 決: 京都地裁平成25年9月13日判決
●商 品: 投資信託(ブルベア投信)
●業 者: コスモ証券(判決時の商号・岩井コスモ証券)
●違法要素: 過当取引
●認容金額: 217万9553円
●過失相殺: 3割
●掲 載 誌: セレクト46・1頁
●審級関係: 控訴審で和解
事案は、年金生活者(元会社員)であった76歳の男性顧客に対し、平成20年9月にヨーロッパ国債の勧誘、販売が行われ、次いで平成21年1月にブルベア投信の勧誘が行われ、ヨーロッパ国債を損を出して売却してブルとベアの両建の形で取引が開始されたのを皮切りに、同年5月まで、頻繁なブルベア投信の回転売買が行われたというものであった。なお、判決によれば、ブル投信は株価指数先物取引を買建てして運用し、ベア投信は株価指数先物取引を売建てして運用するもので、本件のブルベア投信は、株価指数に連動してその2倍の割合で変動するよう仕組まれた投資信託となっていた。また、判決では指摘されていないが、被告証券会社は、本件と同時期のブルベア投信の勧誘に関し、「法令違反その他の不適当な勧誘行為が組織的かつ多数行われ、それが看過されているなど、経営管理態勢及び営業管理態勢に重大な不備が認められる状況」があったとして金融庁から行政処分を受けており、顧客はこのことも強く主張していた。
判決は、ヨーロッパ国債に関しては違法勧誘はなかったとしたが、ブルベア投信については、その性格(上記のような商品の仕組みに加え、格付投資情報センターのリスククラス分類において最上位のRC5に位置付けられていた)、顧客の投資経験(かつては他社で株や投資信託の取引を行っており、被告証券会社では中国株や外債の取引を行っていたとされている)、資産状況(月20万円の年金収入・金融資産は500〜1000万円程度と認定されている)、勧誘や取引の態様、年次売買回転率が62.58回であったこと、手数料額は169万9172円で年次手数料率は約131%、損害に占める手数料率は約60%であったことなどを認定した上で、以下の判示を行って、勧誘の違法性を認めた(過失相殺3割)。
「本件ブルベア投信については、年次売買回転率が年6回でも、投資資金の総体が2か月に1回回転することになり、一般的な個人投資家としては投資判断が慌ただしいものになるが、本件においてはそれをはるかに上回る約63回であり、過当な取引であったといえる。また、本件ブルベア投信の取引は、大半が○○(注・証券会社担当社員)が原告に電話等で取引の勧誘をし、原告がそれに応じるというものであり、一部原告が積極的に取引をしたり、断ったりしているものもあるが、全体としては、○○が投資判断を行い、取引を主導していたということができる。また、本件ブルベア投信の取引内容、前記認定の年次手数料率、損害に占める手数料率等からすると、被告の利益を上げることを企図して本件ブルベア投信を過当にしていたことがうかがわれる。以上のような事情に加え、前記認定の本件ブルベア投信の性格、原告の年齢(当時76歳)、投資経験、資産状況等を考慮すると、○○による本件ブルベア投信の勧誘は、違法なものということができる。」