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解    説

■判  決: 大阪地裁平成19年5月23日判決

●商  品: 株式
●業  者: いちよし証券(旧商号・一吉証券)
●違法要素: 外務員の騙取・横領
●認容金額: 45万円(この他に株券引渡請求及び代償請求を認容)
●過失相殺: なし
●掲 載 誌: セレクト29・224頁
●審級関係: 控訴審にて和解成立


 事案は、投資家が買い付けて被告証券会社に預託していた株券が担当社員によって無断出庫されて、担当社員が貸金業者から借入を受けるための担保に用いられてしまった(その後この担当社員は破産し、詐欺・業務上横領で有罪判決を受けた)というもので、訴訟では、かかる無断出庫を投資家が事後に追認していたかが争われた。
 判決は、担当社員の証言の信用性を慎重に吟味した上で、投資家の供述の方が信用できると評価し、投資家が本件株券が金融業者に持ち込まれたらしきことを知って担当社員に確認した際、担当社員は謝罪の上で既に返還済みであるように述べ、投資家はこれを信頼してそれ以上疑わなかったと認定して、追認を認めることはできないとした。
 そして判決は、無断出庫の効果は投資家に帰属しないから、投資家は同種同量の株券の引渡請求及び執行不能の場合の代償請求をなし得るとし、不法行為による弁護士費用相当額の損害賠償請求も認容した。