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解 説 |
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■判 決: 大阪高裁平成15年6月19日判決
●商 品: 株式
●業 者: 大和証券
●違法要素: 断定的判断の提供
●認容金額: 2544万9550円
●過失相殺: 3割
●掲 載 誌: セレクト22・29頁
●審級関係: 高裁逆転勝訴(原審・京都地裁平成14年12月5日判決)、上告受理申立却下により確定本件の投資家は、日本画家及び美術商として活躍した男性であり、昭和60年頃から何社かの証券会社で株取引を行い、信用取引も行っていた。また、本件各取引当時、他の証券会社に対して担当者の不法行為を理由とする訴訟を行っており、一審で敗訴して控訴審係属中の状態にあった(その後に投資家の敗訴が確定した)。本件は、かような投資家が、担当社員の上司である副支店長より受けた、@「お年玉」や「暴騰」という言葉を用いて行われた平成11年12月末の京セラ株及びローム株の勧誘、A場が引けたら無償増資の発表があるという内部情報を提供して行われた同12年1月のトーセ株の勧誘、B主幹事を務める新規公開株のうちとくにいいものを回すとして行われた同年3月のサイバーエージェント株の勧誘、の3つの勧誘行為につき、違法な断定的判断の提供を根拠に損害賠償請求を行った事案であり、一審では、投資家の投資判断を害するような勧誘はなかったとして、投資家全面敗訴となっていた。
これに対して本判決は、ある勧誘が断定的判断の提供による勧誘として違法となるか、営業活動とかセールストークとして違法とまではされないのかの判断は、それほど容易ではないとした上で、断定的判断の提供が禁止されている趣旨を根拠に、「個々の顧客の能力、知識や経験、取引の具体的な経過に照らし、投資の有利性・危険性に関する顧客の判断を誤らせる危険が大きく、営業活動としての社会的相当性を逸脱して行われた勧誘」は違法となると判示した。その上で、判決は、@の勧誘については、副支店長の勧誘が節度を欠くものであったことは否定できないとしたものの、価格上昇の具体的理由が説明されていないことや、過去にも副支店長の勧誘に従って損が出たことがあったことなどから、違法とまでは言えないとした。しかし、Aの勧誘については、かような@の取引による損失につき苦情を申し立てた投資家に対し、幹部社員しか知り得ない内部情報の漏洩を匂わせて行われたもので、投資家に「内部情報の漏洩のそしりを犯してまでも、第1取引の損失を確実に埋め合わせるために勧めに来たのだ」という認識を抱かせるものであったとして、違法な断定的判断の提供に該当するとした。また、Bの勧誘については、@の取引による損失発生後に副支店長が繰り返し損を埋め合わせるために割り当てると述べていた新規公開株の1つとして勧誘が行われたもので、「99%大丈夫」といった説明も行われていたとされた。他方、判決は、かかるBの取引時点では第1、第2取引と立て続けに大きな損が発生しており、投資家は副支店長の言葉に以前ほど魅力を感じておらず、不信感も抱いていたと思われるとしたが、それでも、既に大きな損が出ている中で投資家は冷静な判断がしにくい状況となっており、このような状況下で副支店長の言葉は大きな後押しとなったとして、違法な断定的判断の提供を肯定した。(過失相殺3割)