[検索フォーム]
解    説

■判  決: 大阪地裁平成15年4月11日判決

●商  品: オプション(日経平均株価オプション)
●業  者: つばさ証券(現・ユーエフジェイつばさ証券)
●違法要素: 説明義務違反、断定的判断の提供
●認容金額: 542万2286円
●過失相殺: 5割
●掲 載 誌: セレクト21・411頁
●審級関係: 

 事案は、自営業の女性が勧誘によって頻繁な日経平均株価オプション取引を行い、大半は益出し取引となったものの、3回の取引が権利行使により多額の損失が出たこと等により、取引全体を通算してもなお相当額の損失が生じたというものである。
 判決は、オプション取引についての説明義務に関し、証券会社担当者は「顧客に対し、その投資経験等に応じて、オプション取引の仕組みの概要や適切な投資判断を行うことは極めて困難な商品であること、それがハイリスク・ハイリターンの商品であって、多額の損失を被る危険性も低くはないことなどを十分に説明すべき注意義務を負う」とし、さらに「オプション取引を行うようになった顧客に対しても、オプション取引についての理解が乏しいことに乗じて取引を勧めることのないようにすべき注意義務がある」とした上で、本件の担当者がかような注意義務に違反したことを肯定した。また、判決は、証券会社担当者は取引をしても損失を被ることはないなどという断定的判断の提供をしてはならない注意義務を負うところ、本件の担当者は当初の勧誘時に「株式を少ししか預けていないなら危険だが、たくさん預けていれば上と下で両方できるから安全であり、損はしない」と述べたとして、上記注意義務に違反すると判示した。
 なお、過当取引の主張については、多数回の取引のうち大半は利益となっていたことや、日経平均株価を構成する株式の入れ替えという突発的事情が多大の損失に繋がったことなどから、担当者に手数料稼ぎの目的はなかったとして、悪意性の要件を欠くとされた。また、投資家の取引経験や、オプションに関する冊子を受領していたこと、取引の途中で大変な事態になっていることを認識できた場面があったことなどが指摘されて、5割の過失相殺が行われた。