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解    説

■判  決: 名古屋高裁平成15年3月12日判決

●商  品: 株式
●業  者: 野村證券
●違法要素: 過当取引
●認容金額: 242万1151円、284万2324円
●過失相殺: 7割
●掲 載 誌: セレクト21・58頁
●審級関係: 高裁逆転勝訴(原審・津地裁四日市支部平成13年3月23日判決)

 女性2名(親子)の株式や投資信託等の取引につき、無断売買、過当取引等の違法事由が主張されたが、一審ではすべて排斥され、顧客の全面敗訴となった。
 これに対して控訴審では、顧客には専門的知識や分析能力はなく、自ら積極的に指示を行ったこともなく、担当社員の推奨どおりに取引を行っていたこと、取引商品・銘柄は外国証券を含むなど多岐にわたっていること、乗換売買や短期売買が相当見られること、取引終盤の損失が生じた銘柄の取引は一任ないし無断で行われたこと、売買回転率は5を超え、手数料率は8%を超えることが認定された。そしてこれらの要素から、取引の過当性、口座支配性が肯定され、さらに、顧客の信頼を濫用しての証券会社の手数料利益ないし自己の営業成績上の利益を図ったものと推認されるとして、担当社員の行為は過当売買と認められ、不法行為に該当するとされた(過失相殺7割)。
 本判決において最も注目すべきは、投資信託が相当数存在したために、取引全体の売買回転率は6に満たなかった事案であるにもかかわらず、取引の実情や問題点の的確な論証と把握により過当取引が認められ、逆転勝訴となった点である。同様の問題を抱えた事案は多いものと思われ、本判決は、今後の過当取引事案において先例的価値を有する判決と言うことができる。(なお、本件において顧客側は、@如何に多岐にわたる商品が取引されているかに関して、各商品の主な特性や、時価が新聞に掲載されているか否かといった点を記載した一覧表を作成し、Aまた、投資信託の取引だけを取り出して本来の信託期間と実際の保有期間を比較することで、一見すれば長期保有のように見える投資信託の取引も、実はその本来の性質に照らせば短期売買と言うべきものであったことを指し示す一覧表を作成したとのことである。これらの主張上の工夫も、実務上大いに参考になるものである。)