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解    説

■判  決: 大阪地裁平成13年12月20日判決

●商  品: 株式
●業  者: コスモ証券
●違法要素: 適合性原則違反、過当取引
●認容金額: 3119万4755円
●過失相殺: 2割
●掲 載 誌: セレクト19・100頁
●審級関係: 確定

 事案は、大正3年生まれの無職の女性が、@担当者による預託金の無断出金についての預託金返還請求、A昭和63年から平成9年にかけての取引による損失についての、無断売買による預託金返還請求(主位的請求)、適合性原則違反・過当取引による損害賠償請求(予備的請求)を行ったものである。
 判決は、受領書に原告の印鑑が押捺されていること等から、原告の無断出金の主張は排斥した。無断売買についても、本件取引まで証券取引経験がなかった原告が、極めて多数回にわたり、仕手株やワラント、内容のはっきりしない投資信託など多種多様なものに、1日に何回もの注文やその変更を指示したことになっていることなどから、原告が取引すべてについて事前に説明を受け、これを理解して個別具体的に指示をしていたかは疑問が残るとしつつも、幾つかの間接事実から、全体として原告の意思に基づいていたか、少なくとも黙示の追認があったとした。しかし、原告の属性と取引内容(上記事実の他、とくに頻繁であった5年間には、月18.3回の取引が行われ、取引の損益は利益であったのに手数料及び諸費用で損失が生じていたことなど)から、本件取引は全体として適合性に反し、かつ、過当な取引であったとして、原告の損害賠償請求を認めた(過失相殺2割)。
 通常の過当取引事案において問題となる各要件の検討は行われていないが、これは本件が、適合性原則違反が顕著な事案であったためであろうと思われる。高齢女性をターゲットとした違法な手数料稼ぎの実態が窺える事案である。