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解    説

■判  決: 大阪高裁平成13年2月16日判決

●商  品: 転換社債
●業  者: 日興證券
●違法要素: 手仕舞義務違反
●認容金額: 169万6354円
●過失相殺: 8割
●掲 載 誌: セレクト17・709頁
●審級関係: 一部逆転勝訴・確定

 事案は、医師である投資家が妻(中国人)を窓口に取引を行っていたところ、証券会社の勧誘により購入した海外発行の転換社債(オリンピックスポーツ)が発行企業の倒産によりデフォルトとなったため、信用リスクに関する説明義務違反、断定的判断の提供などを主張して証券会社に損害賠償を求めたというものである。一審では、投資家の主張はすべて排斥され、請求棄却となった。
 本判決も、発行企業の倒産の具体的な兆候がなかったなどとして説明義務違反、断定的判断の提供を否定した。しかし、本判決は、本件転換社債購入後に投資家の妻が「預けてある証券を安全なMMFに替えたい」と伝えたにもかかわらず、証券会社は相対取引により本件転換社債を自分で買い取ることをせず、預かっている証券は安全であるなどと述べ、そのため投資家は本件転換社債を保有し続けることとなったとの認定の下、「本件は、安全性を危惧して別の商品に買い替えたいと申し出ている顧客に対し、証券会社社員が確たる根拠もなく安全であると述べ、その結果その商品を保有し続けた顧客に損害が発生している事件であって、このような場合、倒産による損害を全部顧客の側が負担し、証券会社には一片の責任もないと解することは相当でない」として、証券会社には顧客の申し出に応じなかった債務不履行責任があるとした(過失相殺8割)。