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解    説

■判  決: 熊本地裁平成12年9月27日判決

●商  品: 株式
●業  者: 大和證券
●違法要素: 利益保証、その他(一任取引)
●認容金額: 3918万9107円
●過失相殺: 2割
●掲 載 誌: セレクト17・61頁
●審級関係: 

 昭和62年11月から平成7年11月までの約8年間の合計570回以上の取引を、利益保証を伴う一任取引であって、全体として違法な取引であるとした判決である。
 判決の認定事実によれば、原告は、他社での頻繁な勧誘を嫌って被告会社との取引を開始したが、原告の妻は取引開始前から精神疾患で入退院を繰り返しており、原告自身も昭和63年には小脳梗塞で入院(この間にも取引は行われていた)、以後も何度か入院し、手術を行ったこともあった。判決は、かような状況下でなお、すべて原告の指示を受けて取引を行ったとする被告会社担当者らの供述を子細な証拠評価によって排斥した上、被告会社での取引開始の経緯に照らし、本件取引(突如3000万円で投資信託購入、以後も短期売買が繰り返された)について、原告が自らの意思で行っていたと認めることは極めて困難であるとし、原告が述べるとおり、一任取引の要請及び利益保証があったと考えるのが自然であるとした。また、長期間の取引のため途中で担当者が交代しているが、2人目の担当者、3人目の担当者についても、取引の基本的性質は変わらなかったとされている。さらに、平成3年に原告の口座から出金された2000万円につき、これが原告に支払われていないことが認められた。(過失相殺2割)
 なお、被告証券会社は時効を援用したが、判決は、原告が平成7年10月以前に損失を知ったことを認めるに足りる証拠はないとして、これを排斥した。