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解    説

■判  決: 大阪地裁平成12年7月13日判決

●商  品: 投資信託
●業  者: ユニバーサル証券(判決時の商号・つばさ証券)
●違法要素: 説明義務違反
●認容金額: 49万9578円
●過失相殺: 6割
●掲 載 誌: セレクト16・445頁
●審級関係: 

 事案は、夫に先立たれ、収入源は年金のみであった昭和3年生まれの主婦が、外国投資信託(ドレスナー・ハイ・イールド・インカム・ファンド)の勧誘を受け、購入(平成10年4〜5月)に及んだところ、元本割れの損害を被ったというものである。
 判決は、原告の適合性原則違反の主張については、投資信託は株式投資や転換社債等への投資よりは危険性が少ないこと、原告に通常の社会生活上の経済知識はあったことを理由にこれを否定した。しかし、説明義務違反については、目論見書やパンフレットは交付されたとしつつ、担当社員の説明は利点に重点を置いたもので、原告が元本割れの危険性を理解したとは認められず、パンフレットの元本保証がない旨の記載も、字体が小さく、この記載からどの程度の危険性があるのかを理解するのは容易ではないとして、これを肯定した。但し、6割の過失相殺が行われた。
 適合性原則違反否定の理由には全く合理性を見出しがたく、原告の属性に照らして過失相殺割合も高きに失するが、従前の判例の流れに沿った「理解」を前提とした説明義務違反についての認定・判断がなされている点や、近時においても以前と変わらない高齢者への不当な投資信託の勧誘が行われていることを示す実例として、意義のある判決である。