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解    説

■判  決: 名古屋高裁平成12年2月23日判決

●商  品: ワラント
●業  者: 野村證券
●違法要素: 説明義務違反
●認容金額: 285万0434円
●過失相殺: 4割、5割
●掲 載 誌: セレクト15・42頁
●審級関係: 高裁逆転勝訴

 一審判決は、レベルの低い説明義務を前提に、担当社員は説明義務を尽くしたとの安易な認定を行って、5名の原告の請求を悉く棄却した(同判決では、電話勧誘や説明書の事前交付の欠如はさほどの問題ではないかのごとき判示まで行われている)。
 これに対して2名が控訴した結果が本判決である。本判決は、説明義務の履行状況に関して投資家の「理解」の有無に視点を置いた事実認定を行い、@ワラントの意義、A権利行使価格、権利行使期間(権利行使による取得株数)の意味、B外貨建ワラントの価格形成のメカニズム、及びハイリスクな商品であり、無価値となることもあることについて十分説明し、投資家がそれらについて的確に認識できるようにすべきであったとして、説明義務違反を認めた。
 判示内容に新味はないが、多くの高裁逆転判決と同様、投資被害に対する偏見に満ちた一審判決が「理解」をキーワードとした判断によって覆された典型例と言うことができよう。なお、それぞれ4割、5割の過失相殺が行われているが、ワラント購入時(平成元年、2年)からの遅延損害金が認められているため、ほぼ実損全額が回復されたものと思われる。