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解 説 |
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■判 決: 大阪高裁平成9年6月24日判決
●商 品: ワラント
●業 者: 新日本証券
●違法要素: 適合性原則違反、説明義務違反
●認容金額: 1838万6095円
●過失相殺: 1割
●掲 載 誌: セレクト6・248頁、精選381頁、判例時報1620号93頁
●審級関係: 高裁逆転勝訴、
最高裁平成11年10月12日判決(セレクト14掲載予定)で上告棄却一審判決は、ワラントについての理解を欠いたまま、投資家が数回にわたりワラント取引をして利益も得ており、その間文書の送付も受けていること、勧誘の際に「ワラント」という言葉が出なかったと考えるのは不自然であることなどを理由として、投資家がワラントについて誤信するのは不自然であるとの一事をもって請求を棄却した。
これに対して本判決は、ワラントの特質を的確に指摘した上で、適合性原則と説明義務を総合的に判断した。すなわち、本判決は、ワラント取引の勧誘をする場合には単にハイリスクであるなどという抽象的な説明では不十分であって、当該一般投資家の経歴、知識経験などに照らし、当該一般投資家が容易に理解できる方法によりハイリスクであるという意味を具体的に説明すべきであるとし、ワラントに関する知識、情報収集能力を備えていない一般投資家に対しては、そもそもワラント取引の勧誘をすべきではないとしている。また、とくにマイナスパリティのワラントについては、これを一般投資家に勧誘することは特段の事情でもない限り不適切であるとし、特段の事情により勧誘を行う場合には極めて詳細で具体的な説明が必要であるとした。そしてこのような前提の下に、本件ワラントは投資家の属性に照らして勧誘すること自体が許されなかったとし、マイナスパリティのワラントをその危険性についての説明義務を尽くさないまま勧誘した点はいわゆる客殺しと同然であるとして説明義務違反を認め、過失相殺も一割にとどめた。
ワラントの特質と一般投資家との関係を十二分に理解して、あるべき投資家保護を打ち出した点において、ワラント被害訴訟の到達点を示す判決と言うことができる。