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解    説

■判  決: 福岡地裁平成6年5月27日判決

●商  品: 株式(信用取引)
●業  者: ユニバーサル証券
●違法要素: 説明義務違反
●認容金額: 399万3385円
●過失相殺: 2割
●掲 載 誌: セレクト16・1頁
●審級関係: 

 事案は、専業主婦であり僅かな株式取引経験しかなかった原告に、信用取引の勧誘が行われ、多数の信用取引により損失が生じたというものである。
 判決は、原告の主張する違法要素のうち、断定的判断に基づく一任取引、過当取引、無断売却については、これを否定した。しかし、判決は、信用取引の特質から、証券会社の営業担当者は、「勧誘対象者が、信用取引の仕組みを十分理解し、そのリスクを踏まえて、自らの責任において投資判断をなし得るだけの投資経験・知識を有し、また、そのリスクに耐えられるだけの十分な資力を有しているか否かといった点を見極めた上で、投資勧誘すべきものであることは言をまたない」とした上で、原告の属性や過去の取引の実態から、営業担当者において原告が適格性を満たしていると判断できたものとは考えられず、当該勧誘は適格性についての十分な検討を欠くものであったとした。
 そして判決は、このことだけでは勧誘行為が直ちに違法性を帯びることにはならず、どの程度の説明が行われたかの検討が必要であるとし、本件においては、電話による説明のみであったこと、営業担当者の証言によれば追証発生の際に原告が信用取引に関する極めて初歩的な質問をしていたことなどから、「信用取引の仕組み、危険性等について、原告の理解が得られる程度の十分な説明を尽くしていたとは認められない」とした。
 以上により、判決は、「適格性について十分見極めた上で、その程度に応じ、原告が十分理解できるように信用取引の仕組み、危険性等につき説明し、これらの点についての原告の理解を確認した上で、取引を勧誘すべき義務」についての違反を認め、過失相殺も2割にとどめた。
 但し判決は、信用取引は規模や損失が30分の100倍になるものであることから、信用取引によって拡大された損失は、実際の損失の7割であるとし、かかる観点から損害額を減じている。
 適合性原則と違法性との関係や損害論については多大の疑問が残るが、ようやくワラントについての勝訴判決が1、2現れ始めた頃であったこの時期に、信用取引につき理解と確認を前提とした高度の説明義務が肯定され、過失相殺も2割にとどめられたことは、注目に値する。