平成12年5月23日 日本経済新聞(夕刊)
金融商品販売法が成立 銀行などリスク説明義務銀行や証券会社などに金融商品の元本割れリスクの説明義務を課す金融商品販売法が二十三日の衆議院本会議で可決、成立した。二〇〇一年四月から施行する。
金融商品の高度化・多様化をにらみ個人投資家や預金者の保護を充実するのが狙いで、各金融機関は販売手法の再点検を迫られる。このほか、特定目的会社(SPC)による資産流動化を後押しする改正特定資産流動化法(改正SPC法)、改正証券取引法も同日併せて成立した。
金融商品販売法は金利、為替など相場変動や金融機関の破たんによる元本割れの可能性を顧客に説明することを金融商品の販売業者(代理店を含む)に義務づける。願客はこうした重要事項の説明がなかったことさえ立証できれば、金顧機関側が反証を示さないかぎり、受取額が元本を下回ってもその差額(元本欠損額)を損害額として賠償を受けられる。
説明義務があるかどうかから具体的な損害額の算定まで顧客に立証責任がある現行の民法手続きに比べ、顧客側の負担が軽くなり訴訟を起こしやすくなる。
対象商品は頭金、信託、保険、有価証券など法律で規定。半面、郵便貯金や簡易保険、商品先物取引などは対象から除外した。販売業者には投資家の知識や財産に応じた販売ルールなど、金融商品の勧誘方針の策定・公表を義務づける。<金融商品販売法の骨子>
・金顧商品販売業者(取り次ぎ・代理店を含む)に金融商品が持つ元本割れリスクの説明を義務づけ・顧客に重要事項を説明しなかった場合、販売業者に損害賠償責任。元本割れした額をその損害額と推定
・対象商品は預貯金、信託、保険、有価証券。新しく登場する商品は政令で追加。郵便貯金、簡易保険、商品先物取引などは対象外
・販売業者に金融商品の勧誘ルールの策定・公表を義務づけ