平成12年4月29日 日本経済新聞朝刊

 野村、2審で一転敗訴  京都の過当取引賠償請求訴訟

 「顧客の利益を無視した証券取引で損失を被った」として京都市の●●●●会社が野村証券に六千七百万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が二十九日、大阪高裁であった。
 吉川義春裁判長は「取引の一任を受けていることを乱用し、顧客の利益より手数料稼ぎを優先した過当取引」と認め、請求を退けた一審・京都地裁判決を取り消し、野村証券に全額支払うよう命じた。
 判決によると、●●●●会社は元社長を通じ、一九九〇年に同証券京都支店で現物取引や転換社債取引などを開始。特に九一年二月から九二年九月までの一年七カ月余は頻繁に取引、その間の損失額は約二億三千万円に上った。
 一審判決は「取引のきっかけは同証券の外務員からの勧誘や助言によることは多かったが、同証券側が一任されて行ったとは言えない」と一任取引とは認めなかったが、二審判決では元社長が出張などで不可能と思われるときにも取引されていたことなどを指摘、一年七カ月余の取引の大部分は同支店担当者による違法な一任取引だったと同証券側の主導性を認めた。
 さらに「ほぼ毎日のように一回当たり二千六百万円もの高額取引をし、一年間の投資資金の回転率も六・八回と過度な取引だった上、顧客の利益を無視するなどの悪意があった」と過当取引だったと認定した。